★演じるという技

akoga2005-02-02

 こんにちわ。芝居の中で演出家の言う通り筒井道隆君を叩こうとしたらもっすご嫌がられた古賀です。
 色んな役者を見る度に思うのは、稽古中にしても本番中にしても、この温度差は一体どういう訳だ?という事だ。もちろん皆真剣にやっているには違いない。と思う。が、それにしてもそれぞれの役に向き合う姿勢が違い過ぎて面白い。しムカつく。
 例えば誰かにぶつかって一言面白い事を言うシーンがあったとする。とりあえず大体の場面は想像出来ると思うが、違う役者に演じてもらうと様々な現象が起こる。例えばそれが、状況を全て想定した上で演じるタイプだとすると「このぶつかる場所ってどこの設定にすればいいですか?ぶつかる相手は見ず知らずの人ですか?」と確認し、常に同じぶつかり方、同じ一言を極めるまで演じる。邦画監督史に名を刻む『巨匠小津安二郎監督』は演じ手は全てこの部類であるべき、と言っている。役者なら何度リハーサルしても寸分の狂い無く同じ演技が出来て当たり前だと。このタイプにアドリブ好きのタイプをぶつけると大体こじれる。例えばそれが全力疾走系の役者なら、本気でぶつかるので相手がふっとぶ。このタイプにまた全力疾走系のタイプをぶつけると、有り得ない位ふっとぶ。例えばそれが飽きっぽい役者なら、ぶつかり方や、ぶつかった後の一言が毎回違う。おそらく僕はこのタイプに属する。新鮮さを求めて試行錯誤するが、結局原点に戻る事が多々ある。このタイプと状況を全て想定した上で演じる役者をぶつけても大体こじれる。「同じ事やってくんないと困る」と怒られる。例えばそれがアドリブ好きの役者なら、ぶつかるまでに一芝居入る。そして、まずぶつからない。そして一芝居入る。
 とまぁこんな風に何が正しいとか何が間違ってるとか、そんなもの関係無いから役者って面白い。という事にもなるんだけどね。勿論演出家、監督がルールという一定の範囲内の話だけども。僕の持論として、どうしようもない人間に限って魅力的な芝居をしやがるというのがある。今までの経験上ほぼ間違いない。本書きにも同じ事が言える。コイツは何て素敵な芝居をするんだ、と思った役者は大体プライベートがどうしようも無い。それが、ある程度の事は無難にこなす僕なんかの悩みの種でもある。
 何か公演後の居酒屋みたいになっちゃったな。ま、演技論という程でもないので何となく流しといて下さい。すすめばっか書いてるとコイツは何やってる人間なんだ?と思われかねないので役者っぽい内容を書いてみたまでです。